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番組審議会議事録概要
令和4年11月度 茨城放送番組審議会議事録概要
- 開催日時
- 令和4年11月30日(水)
AM10:32~PM11:42
- 開催場所
- 茨城放送本社3階会議室
- 委員の出席 [*印 委員長 ・印 副委員長]
-
- 渋 谷 照 夫 [ * ]
- 小 西 俊 一 [ ・ ]
- 池 田 敦 彦
- 鎌 田 賢
- 菊 池 康 弘
- 渡 辺 勝
茨城放送出席者
-
取締役会長
北 島 重 司
代表取締役社長
阿 部 重 典
編成事業部リーダー
鴨 川 貴 史
報道広報事業部サブリーダー
畑 中 一 也
審議会事務局
宮 田 浩 二
- 議題
- 「 『週刊ニュースポ!』夏企画 ~古谷経衡が伝える戦後77年~ 」
令和4年8月6日(土)・13日(土)いずれも19:25~20:00
委員からの意見
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委員
実は私、祖父の代から日立市の出身。母も高萩で艦砲射撃を受けたといういろんな話を聞いた。それらの個人の経験と比べると、山形さんの話は本当に山の上から見てて、たまたま見ていた工場にも行っていたので、比較的広いというか視点の広い形で個人のストーリーを聞かせてもらった。その上で、幅広く日本国内全体の様子や米軍の考え方も含め、古谷さんの解説があって私は知らないことがまだまだたくさんあると感じた。
個人的にはやはり昔の新聞が一時国民に戦争しましょうというような扇動をしていたことは全然知らず、驚いた。後は終戦を境にした教師の手のひら返し。これは親からも聞いている。軍国主義にしても、民主主義にしても、教育またはそれは洗脳かもしれません。今も教育してるつもりで、私達は洗脳してるのかもしれないけれども、そういうことの恐ろしさも感じた。番組全体を聴いた後、ストーリーとしての印象の深さ、それから解説の幅の広さというところから、むしろこれでわかったというのではなく、知らないことがいっぱいあるということをリスナーに残すような構成になっていたと思う。
教育の手のひら返しもそうだけれども、受け取ったものを知るのは大事だが、よく考えて判断するのは自分だということも含め、リスナーに宿題みたいなものを残したのではないかと思う。
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委員
全体としては、インタビューと解説が実にうまく組み合わさった番組だと思った。その組み合わせ、構成の妙によって本来は固い内容の番組だが、非常にわかりやすく柔らかい番組になっているという印象を受けた。山形さんの生々しい戦争体験を、古谷さんが軍事的あるいは歴史的に戦争のリアルというのはこういうものなんだと上手に解説していた。聞いてるリスナーもなるほどと頷きながら聞いていたのではないかと思う。事前にもらった資料の中に、音で訴求するラジオの果たす役割が戦争体験者を少なくなることに反比例して今後ますます大きくなっていく中で、体験者の放送の機会を複数確保することがメディアの役割と考え放送したとあったが、全く私も同感。その姿勢を今後も堅持してほしい。
山形さんが語る15歳の記憶というのは鮮明である一方で、目の前で一体何が起きてるのかその意味が理解できないというような特徴があると思う。おそらくは当時の平均的な少年の体験だという風に感じられた。その意味を古谷さんがうまく指摘しながら、解説分析しているなと思う。例えば、東京大空襲を機に精密爆撃から無差別爆撃へ移った話、なぜ日立が狙われた理由、空襲と艦砲射撃の違いなど、米軍の焼夷弾攻撃のやり方などがその良い例で、非常に戦争のリアルというのが分かりやすく解説されていた。
番組の中で古谷さんが具体的な事実を知るあるいは伝えることの大切さということを強調していたが、私も共感する。その事実の積み重ねが発表された情報とか言論統制などを突き崩す力になるのだと思う。
戦時下の洗脳教育は、旧統一教会のマインドコントロールを彷彿とさせる。爆撃や砲撃による都市の破壊というのは、まさに現在進行形のウクライナ戦争の光景。山形さんの体験は77年を経てなお色あせておらず、古びておらず、今後古びさせないような優れた番組を作り続けてほしいと感じた。
私の中学時代の恩師も日立の空襲を体験している。今でも語り部のようなことをやっていて、その話を聞くと音の記憶がとても鮮明だと言っていた。爆弾が投下される時のひゅーっというような音、そういうことをとても強調している。山形さんも番組の中で何度かそういう表現をしていたと思うが、音というのはラジオが最も得意とするものなので、そういう音にこだわった平和番組などを今後企画していただければ面白いかと感じた。
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委員
今回夏に放送された戦争についての番組、すごく聴きごたえがあった。まず今回のインタビューに応じた92歳の山形さん。すごく声も聞き取りやすく、記憶も鮮明で聞きやすかった。私自身県外の出身なので、日立の空襲がどんなものだったかこちらに来てから知ったことが多かったので、改めて考えるところがあった。
インタビューと古谷さんの解説が入るところの間がすごく良かった。この手のインタビュー物では、インタビューが来て、最後に感想めいたものが入るような構成だったりする。それだとちょっとインタビューで聞いたことが頭に残りにくいようなところがある。少し短いセンテンスで切って、そこにその意味みたいなこと、あるいはさらに掘り下げた解説を入れていくという手法ならばインタビューの内容も頭に残りやすいし、解説したところも山形さんが今回ここで体験したこととにはこういう意味があったのかなと腑に落ちるようなことが所々で入っていた構成だったと思う。
当時の日本国民、山形さん当時15歳ということなので、日本が戦争していることについてこんな風に感じていた。多くのところで語られていることでもあるので、それ自体が新しいことではなかったが、いざ本当に日立で空襲があった時というのは、衝撃というか驚きをもって体験したんだろうなということが声を通じてすごく伝わってきた。
淡々と事実を話してるところが、またよかったと思う。ご親類の方がたくさん亡くなってるというところは勿論感情が入ってくるだろうけども、B24が先にこんな感じで飛んできてというような話や、再襲された時にお父さんにこんなふうに話されてこういう行動をとったという話、そのようなところの感想というのは何かどこか客観的に捉えている、自分のことなんだけれども客観的に捉えているようなところがあり、逆にそれがリアルに感じられるようなところもあった。今回2回に分けて放送されたが、長さとしても長すぎるということもなくすごく聞きやすかった。
他の委員からも発言があった新聞記事が当時開戦を求めるようなところがあった話。勿論直接間接の圧力があり、そのようなところもあったのかと理解するけれども、やはりこのメディアの在り方というところも一つ考えさせられたような放送になっていた。
まさに今ウクライナで起こってることについて、ウクライナやロシアの国民が今ひょっとしたら感じたり、あるいは一生懸命情報を集めたりしてるというのは、多分当時の日本国民が感じたその時の姿に重なるのかなと思った。メディアのあり方ということでも考えさせられることが多い番組だったと思う。すごくいい企画だった。
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委員
私も大変良い番組だと思った。他の委員からも指摘があった通り、山形さん大変クリアに話していて、声も含めて聞き取りやすい、話の中身もわかりやすい。とても正直に所々その時どう思われましたかということに、自分の感情、思ったこと、実感も話していた。軍国少年としての教育を受け、一夜にして民主国家に生まれ変わった。どんな気持ちだったのか、そういう正直なところが非常にストレートに伝わってきた。
番組の構成で、良かったのが始まってすぐに1分でインタビューが始まる。これが非常に没入を誘うと言うか、まずは聴いてくださいというようなメッセージを感じた。そのまま5分のところまで都合4分、山形さんの話がずっと続くが、ここで入り込んできてくれたリスナーは私もそうだが、出て行かないだろうなという気がした。この辺は構成の勝利と言うか、上手さだったと感じた。時系列でまとめられた点、そこを意識したという説明あったけれども、それも奏功していたと思う。感情はとても大切だけれど、その感情に至る前提のファクトがないとどうしても伝わらない。悲しかった、うれしかったという喜怒哀楽を話してもらうだけでなく、ファクトでもって淡々と伝えるというのが報道の基本だと思う。そこの部分もうまくいってたと思う。体験者の放送の機会を複数確保することがメディアの役割という部分、まったく同感。是非これを続けて行ってほしい。
古谷さん大変知識も広範で深い評論家だと認識している。分かりやすく伝えるためにという部分はあったと思うがやや話が断定調で、番組聞いてた人が一瞬あれという風に思ったかもしれない。新聞側の翼賛体制という話。これは全くのファクト。用紙をめぐる攻防があったのは事実で、もちろん用紙の他にもいろんな統制圧力があったと認識している。もちろん根幹部分の大きな要素は用紙、紙だったというのは事実だろうと思う。ただ間違ったことを言ってる訳ではないので、あえて申し上げればというレベルでお伝えする。
全体的なバランスもとれていて、さすが古谷さんと柴田さんのコンビで聞きやすいいい番組だったと思った。
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委員
他の委員の発言もあったように本当に構成の面で非常に聴きやすく、2回にわたって上手く作られていた。私もこのような色々聞き取りをやった経験はあるが、80歳以上の何人もの方から戦争体験を聞いてきたが、山形裕信さんほど明確に無駄なく話した人はいなかった。92歳にもなってこれだけ聞きやすく、内容も本当に聞きたいことをちゃんと話してくれる人、素晴らしい人がいると思い感心した。こういう人がもう10%を切ってしまっている。急いで多くの人に聞かなければならないと思った。
全体的に一番に感じたのは、教育の恐ろしさ。山形さんが子供の頃ほとんど「知る権利」を国や教育界から剥奪されていて、本当に偏った情報でしか教育されてなかった。だから日本は絶対に負けないと思い込んだり、死ぬのも恐ろしくない、天皇陛下万歳で死ねばいいんだみたいな、そういう偏ったことを子供が思い知らされるんだなと思った。洗脳・マインドコントロールというのは、文部省・文科省の犯罪ではないかと思うぐらい偏った教科書、それから教育内容になってると思う。だから歴史なんかも本当に近代をやらないで、日本の都合悪いところは子供に教えない感じになっている。本当に知る権利が必要だということをつくづく思った。
古谷さんは本当に知識が豊富。知識があまりにありすぎて柴田さんの質問を待たずにどんどん喋るが、聞き取りにくくはないからよくわかる。これだけ詳しく色々研究し、情報を集め、整理してる人が解説者にいて、本当に茨城放送はラッキーだと思った。
特に私知らなかったことが多かったが、防空法という一般の人が消火活動を手伝う義務があったということも知らなかったし、防空法を国民がまともに受けたものだから昭和20年3月の東京大空襲で10万人も死んでしまった。その後の東京の空襲で死者が激減したのはこういう強制的な法律をまともに信じなくなったとのこと。やはり国民も賢いと思った。
山形さん一番力入ってたのが、教師は軍国主義の時に偏ってこと教えていながら、戦争が終わった途端に民主主義を平気で教えているという、その平気で変わる大人の偽善的な態度。そういう態度というのは今でも国会などでよく見られるけれども、多くの子供たちが学校と言う組織の中で偏った態度で、偏った偽善的な態度をする大人、そういう大人を見て憤りを感じるといったところ。最後のところで山形さん確かに力が入ってたと思った。
山形さんは最後に今まさにウクライナという発言をしている。今回の番組は過去のものではない。ウクライナのこと、北朝鮮のミサイル発射など日本にいつ起こるかわからない。遠い話でもなく昔の話でもない。今の私たちは戦争、そして平和ということに対して、もう少し詳しく知るために過去の歴史から学ぶというところにつなげてもらいたい。そういうことをラジオでまさにやる役割があるんじゃないかと感じた。
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委員
今回、貴重な戦争体験を語ってくれた山形さんへのインタビューは,92歳となった今でも,当時目にした光景やその時の心情をはっきり思い出されながら話していると感じた。「爆撃で多くの親戚が亡くなったが、当時はそれが空襲であったことさえ分からなかった」という話からは、戦争の恐怖が感じられ,「当時の教育により,戦争に負けることはないと思っていたこと、死ぬことに何の抵抗もなかった」など,戦時下での異常な心理状態を語ったときは,戦争が如何に常軌を逸したものかという事が良く伝わってきた。
また、インタビューの合間での古谷経衡さんの解説は,山形さんの話をとても分かりやすいものにしていた。「戦争末期では連合軍が無差別爆撃に舵を取り始めたこと」「地方都市への空襲は人口の多い所から行われ,海側からではなく見つかりにくい山側から回り込んで爆撃を始めたこと」等の説明は、リアリティを持って山形さんの体験談を聴くことが出来た。
現在も,世界中で戦争や紛争により多くの犠牲が生まれている。このような番組は,「戦争」を身近なものとして考えるきっかけになるとともに,アーカイブ化により,後世に伝えていくための貴重な資料になる。これからも出来る限り多くの体験談や,様々な角度から戦争関連資料を集めていただき,周年記念事業として「戦争の恐怖・悲惨さ」を伝える番組を企画・放送し続けていくことを期待したい。
2022年12月31日
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