令和元年11月度 茨城放送番組審議会議事録概要

番組審議会議事録概要

令和元年11月度 茨城放送番組審議会議事録概要

開催日時
令和元年11月21日(木)AM10:30~PM12:00
開催場所
茨城放送本社5階会議室
委員の出席 [*印 委員長 ・印 副委員長]
  • 渋 谷 照 夫 [*]
  • 米 倉 達 広 [・]
  • 小 川 敏 正
  • 川 股 圭 之
  • 蛭 牟 田 繁
  • 鷲 田 美 加

茨城放送出席者

  • 代表取締役社長

    北 島 重 司

  • 取締役編成局長

    阿 部 重 典

  • 編成局次長

    宮 田 浩 二

  • 編成局報道防災センター長 番組プロデューサー

    畑 中 一 也

議題
IBSプレシャスフライデー「台風19号水害 そのとき県内は」
  令和元年10月25日(金)21:00~21:55

委員からの意見

委員

台風についての水害についての知識が防災士の方に少なかったということで、私も感じながら聞いた。水害の被害を茨城放送が一般のリスナーへ情報提供と被災者向けの情報として、役立つ企画だった。
先ずラジオのビジュアルを使わないという効果を生かそうとしている努力が感じられた。樋口キャスターがあの橋がこんなにも壊されて流された風景を初めて見ました。最後の方で「一番衝撃だったことは水郡線の橋が壊れたというよりも、破壊し尽くされてしまった。バラバラで相当な勢いで流されてきた感じです」という表現で。映像ではテレビで見ていたが、やはりこういう風に表現されることがラジオの良さだと思う。
それから二番目にナレーションと丁寧なインタビューを交えながら、“伝える、聴く”という効果が出ていると思った。二人の消防団員とそれから住民、病院などへのインタビューしていた。富岡地区の主婦の方、目に見えるような話し方。「夜中の12時頃、エリアメールで2回逃げてくださいってあったけれども、風がすごく強いっていうことを前もって言われていたので、車が飛ばされるっていうこともあるかもしれないって動くことが出来なくて、2階で待機した」とか大変丁寧に答えている。相手が冷静に丁寧に答えてくるためには、聞いているほうがそれに勝る丁寧さ、態度、言葉遣いなどが好感を持たれてないと、このような答えをしてくれないと思うので、樋口キャスターの力ということを感じた。
全体的に感じたこととして、これは何日分を放送しているのか、インタビューにしても取材しているのも、「この水害があって今日が10日目なんですがこうですと、今片付けはしてあります」と言われて、片付けしてあるという事は何日かかった、その何日かを知りたいと思った。10日経っている、この放送は10月25日で約2週間後ですなど、実況放送ではないわけだから、「水害から今日は何日目です。このようになっています」という風に、逐一言った方が良かったかなと思った。  

委員

10月12日の上陸から2週間後に制作されていた番組、災害の発生直後は日々変わる情報をどんどん投げていく報道が続きます。2週間を経て、一度全体図をまとめようという意図のある番組だと思いました。我々もその台風から一週間あるいは一か月などで誌面に掲載して、情報の整理や検証を試みたりします。そう意味では今回はその非常に硬派な番組で非常に新聞制作との共通点が多くある番組だなという印象を受けた。
その中で印象のあったのは2点。今ご指摘があった、あの富岡の女性の声。いろんな情報をこの人も思いながら、でも夜中の2時前なので逃げられないし、どうしたらいいのかわからないと。逃げなければならないということはわかっていても、どうしていいかもわからないと言うこの人ならではというか、被災を経験した人ならではの声だなという風に印象強く思った。
まさに災害時の現場では、どのように注意を促して、どのように逃げていくのかという判断が問われるというか、非常に難しいものだなとその実態がこもった現場ならでは、被災者ならでは声だなということで非常に印象深く思った。
もう一つは樋口キャスターが防災士として、最後に自身の意見として述べている。この中で印象深かったのは、「私たちは住んでいるところを変わるわけにはいかない。出来ません」とはっきり言い切った点にちょっと心が止まった。今回の場合、以前の那珂川氾濫の時にも水没を経験した人が、あえてまだそこにも住み続け、今回も被災したという人も決して少なくなかったという点が、今回の災害のポイントだったと思う。つまり、我々取材者ではあるが、当事者ではないのでこの土地を引っ越したいとか、もうこの土地に住めないというコメントをもらうと紙面に掲載したりする。しかし、災害から一週間、一か月あるいは2ヶ月、3ヶ月経ってみるとこの土地で住まざるを得ないという現実があり、なかなか簡単に引っ越したり、新たな家を買ったり、ローンをまた組んだりなど無理だと思う。そういう意味で、樋口さんが現場の声を聞いた実感として、私たちは住んでいるところ変わるわけにはいかないと言い切った点について、いいコメントだなと実感した。

委員

茨城にも大変甚大な被害をもたらした台風19号水害からおよそ10日目の被災地、被災者の姿を伝える、まだ事態が動いているうちの緊急特番という形でいい番組だったと思う。現地の惨状であるとか、被災者のショック、とまどい、そういった現地の生の声で、大変生々しく伝えている番組になっているという印象を持った。
番組の柱となったのは、樋口直実防災キャスターによる被災地の現地のルポと被災者のインタビュー、この二つが柱になっている。いずれも、大変惹きつけられるものがあった。樋口キャスターによる現地ルポが、興奮気味というかショックをそのまま語る、実況は現場の痛々しい状況に立ってみて、初めて味わうショックを聞いていて生々しく伝わった。
もう一つの柱である被災者の声については、いずれも被害からまだ間もないという状況の中で、被災当時の模様、生き残ったと言うかとりあえず助かったというので、被災当時の模様、思いを大変刻銘に証言してくれているなと、やっぱり緊急特番の意味がこういうところにあると考えた。水害という災害、震災とは違う水害という災害の特徴をよく当事者の声をよく伝えていたと思った。まさに水害というのは、我々住民が気付かないうちに、忍び寄るように来てあっという間に襲来し、住民が気付いた時には既に避難するには手遅れ。また大雨と氾濫のタイムラグ、大雨が降っているのは上流部分というのもあり、その氾濫のタイミング、そのタイムラグという問題もあり、常に水が入ってくるのは予想し得ないとか、まさかとか予想しえなかったっていうことが大変出てきたが、こういう状況だからこそ水害では家屋に取り残され人が多いのかなと、常総水害でも大変大勢の方が家屋に取り残されて、空中からヘリコプター救助されましたけど、なぜ逃げなかったのかと、当事者はこのような状況だから家屋に留まってしまったのだと改めてこの番組を聴いて分かった。
ただ一点、番組の中で分かりにくかったところで、放送時点で判明している被害概況など普通の説明のナレーションに続いて、被災当夜の番組の録音と思われる、「茨城県内では10の市と町に大雨特別警報が発令発表されています」というアナウンスが若干入った。被災当夜の臨場感を伝える効果を狙って中に入れたのかもしれないが、聞いている方にはよくわからなかった、むしろない方がすっきりしたような感じもした。
ラジオもあるいは我々新聞も言葉を縁とする媒体だが、現地当事者の生の声、それを直接伝えられると言うのは、やはり活字と比べてもはるかに迫真性と訴求力があって、それこそがラジオの生のラジオの強みであってこれからのラジオの可能性ではないかなと感想をもった次第です。

委員

防災ステーションを宣言されて、防災に関する様々な啓発、情報発信に取り組まれている茨城放送としての本当に大作と言うか、茨城放送ならではの番組ということを強く感じた。冒頭からその中にたくさんの情報が入っていて、現場の声を中心に入っていますが、例えばBGMが削ぎ落とされているところがあるとか、本当はここで解説が入ると思うところの解説が削ぎ落とされているとか、削ぎ落とされて丁寧に組み立てられているので、情報が自分の中で氾濫しなかった。すごく丁寧に情報が入ってきて、しっかり心に残ったっていうのが一番良かったところ。
改めて、樋口直実防災キャスターのコメント。今までも地震を中心に様々な報道を何年もされている樋口キャスターの口から語られる、その素に近いような語り口は本当に訴求力があり、何を言うかもすごく大事だが、誰が言うのかが本当に大事だということを改めて感じた。
 課題でもあり今回の良かったところでもあるが、災害を自分事と思えるかどうかというのが一番こういう放送で大事だなと思う。自分事と思っていない私たちの現状というのがあり、そこをどれだけ予防策としてリスナーに伝えられるかというのが、これからの更なる課題では思った。普段から番組で地域の方との交流やイベントなど、そういう機会も実は防災にすごく役に立っているのではと思った。
三つ目として、過去を振り返るのではなくて、明日に続くメッセージになる番組というのはすごく茨城放送らしいと思った。今回も樋口キャスターの言葉で今後の課題、規模の大きくなってくる災害にどうしていくか、あるいはタイムラグの問題、自分の住む地域を知るということの大切さというメッセージで締められていた。災害は何度も繰り返され、他の地域では同様の災害を既に経験されている方もいることを考えると、どのように未来を良くしていくかに注力して、今回のような番組を制作して県民皆さんをつなげてほしいと思った。

委員

今回台風19号が来る前から非常に大きな台風だってこと、本当にこれまで経験したことのないというキーワードが何度もいろんなマスコミから出ていた。どう備えればいいのか、今回すごくいろんな知見を得られるだろうなとこちらも構えていたところがあったが、これまで経験したことのないことが実際に起こってしまった。しかも茨城県県内で起こってしまった。
13日の未明から、茨城放送のいろいろな番組の中で、台風の情報、水害の情報を出してもらって非常に安心した。その意味で本当にまずは茨城放送には感謝したい。
今回、茨城県内だけでも氾濫した箇所が10か所程度。私は同時多発水害という風に呼んでもいいくらいの非常に大きな災害、未曾有だと思う。これまでその名の通り同時に多発した水害は、今までなかったのではと思っている。
全国で見たらものすごい数。人のアテンション、人間の持つ関心の有限さ、関心というものは、一人一人あんまり多くのことを一緒に考えられない、それから関心を持てない。どうしても自分の考えと関心は、自分の非常に身近な場所、それから緊急性の高いところ、そこにどうしてもフォーカスしてしまいがち。そういう観点からすると県内で10箇所程度水害や河川の氾濫や越水があった、自分の近くはどうなっているというところからまず真っ先に知りたくなる。これに答えてくれるのはやっぱりラジオしかないなと思った。ただ茨城放送でさえ、例えば県南と県央と県北、しかもその那珂川沿いと久慈川沿いとそれから利根川水域。これもアテンションがばらけるところ、これをどうやって人のアテンションの大きさに、その今いる地域のメディアがどう答えていくかって、ものすごく大きな課題を今回は突きつけられたのかなと思う。どこかに一箇所に集中しているのであれば、そのアテンション向かってそれに対する報道をすればいいと思う。しかし、県内だけでも10ヶ所近くある。そうしたらどこにどういう風に配置したらいいのか、あるいは自分の近くだけの情報を聞きたい、それに対してどう答えるといいのだろうか。ものすごく大きな課題ではと思った。メディアの限界さえ感じてしまった次第です。でも本当にそんな中でも、自分の地域がどうなっているかっていうところに関して、非常に手厚くいろんな情報を教えてもらった。
この水害を考えた時にスーパー台風の威力、これからこういうことが増えるだろうということ。それからタイムラグ。台風が去った後に水かさが増して水没してしまうというこの二つの知見は、住民にとっても大きな知恵になるし、それから防災に関わる人間にとっても、これほど自分で直接的に得られた知見というのはなかったのではと思った。
それから、番組企画構成で同時多発水害に対し、どのような形でメディアが対応していくのかということ、これは非常に今後の検討を要することだなと思います。そういう意味では、何かラジオとテレビからSNSなどがうまく連携できるような仕組みはないのかと非常に強く感じた。
最後に、こういう水害があった時にどうしても行動経済学というところの一分野でよく言われるいろんなバイアス、要するに今そのまま現状維持をするバイアスだとか、あるいはその事なかれ主義っていう心理が働いてしまう。我々も常日頃から心してかからないと、水害の時にそのようなバイアスが働くことにより、人的被害がさらに広がってしまう。そういったことも防災ステーション宣言をしている茨城放送が、平常時から啓蒙的なことを行うのもよいのではと思った。

委員

今回聞かせていただいた番組は、IBSプレシャスフライデー『台風19号水害 そのとき県内は』という10月12日に発生した台風19号による水害をテーマにした特別番組。茨城県は、9月にも台風15号による被害を受けており、約1か月の間に2度の台風被害を受けたこととなる。それ以前の平成27年には、常総市で、やはり台風の影響で河川が氾濫する水害が発生しており、台風やこれによる水害は、いつでも起こり得る身近な危機として感じられるようになってきた。今回の放送は、甚大な被害を受けた県内各地(水戸市、常陸大宮市、大子町、神栖市)での取材を交えながら、当時の状況やこれからの課題・対策をよく伝えていたのではと思う。まだ完全復旧とまではいかない状況が続いているが、今後も折に触れて今回の台風被害を伝える放送を続けていただければと思った。

2019年12月31日

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