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番組審議会議事録概要
令和5年5月度 茨城放送番組審議会議事録概要
- 開催日時
- 令和5年5月30日(火) AM10:30~AM11:40
- 開催場所
- 茨城放送本社3階会議室
- 委員の出席 [*印 委員長 ・印 副委員長]
-
- 渋 谷 照 夫 [ * ]
- 小 西 俊 一 [ ・ ]
- 樫 本 淳
- 鎌 田 賢
- 菊 池 康 弘
- 斎 藤 敦
- 鷲 田 美 加
茨城放送出席者
-
取締役会長
北 島 重 司
代表取締役社長
阿 部 重 典
編成事業部リーダー
鴨 川 貴 史
報道広報事業部 記者
福 島 知 果
審議会事務局
宮 田 浩 二
- 議題
- 「学び直しの現場から ある夜間中学の挑戦」
令和5年5月21日(日)13:00~14:00放送
委員からの意見
-
委員
今回開局60周年記念の特別番組ということで、通常の番組とは一味違う大変聞き応えのある感動的な番組だった。ナレーションを最小限に卒業生の声をそのまま届けるという構成になっていたけれども、夜間中学の存在意義をリスナーに伝えすることができた、大きな意義のある素晴らしい番組だった。
卒業生へのインタビューは漠然としつつも、自分の夢に向かって突き進む声や様子が伺えた。外国籍の方や学習意欲のある高齢の女性の方もさることながら、不登校や引きこもりだった方のインタビューでも、同じ境遇のリスナーがもし聞いていたとすれば、夢を追うのに遅いということはないといったメッセージが伝えられたのではないか。
卒業する14名の方々や今年入学した12名を含む在校生の方々に是非夢を叶えてほしい、頑張ってほしいと素直に思った。
強いて意見を言えば、先生たちがどんな考えを持って、どんな試行錯誤をしながら挑戦してきたことは何だったとか、初めて卒業生を出すことにあたり、どのような総括をしたかなど、先生側のことも知りたかった。
あと9年間引きこもりの方の話が非常に心に響いたというのもあり、先生と倉持さんに焦点を絞ったドキュメンタリーのような番組も聞きたかった。
以前、戦争体験の番組で体験者のインタビューを録った番組もあった。映像のないドキュメンタリーは制作する側は非常に難しく大変ではないかと思う。1時間リスナーに聞かせる苦労や工夫があると思うが、こうした聞き応えのある番組は、ぜひこれからも続けて行ってほしい。
-
委員
タイトルが「学び直しの現場から ある夜間中学の挑戦」ということで、ここに番組制作に当たった皆さんの気持ちや視点が全て表されていると感じた。結果、番組を聞き終えた後も何日も心に残って、自分の課題として考えさせられているような、終わりの頃には涙を流しながら聞いた。
印象に残った点。1つ目は現場を丁寧に取材して多角的に見える化、立体化していた点。2つ目が安心信頼のおける声で伝えていた。3つ目が評価をしなかった。
まず、現場の丁寧な取材という点で時間をかけて一人一人に向き合った言葉を丁寧に紡いでいた。最高齢の田辺美佐子さんのコメントでは「本当に夢のようだった」と中学生活を振り返り、「楽しいよねって。孫みたいな世代の人たちと一緒に勉強できたのが良かったし、その視点の違いに気づけた」という率直な感想を聞くことができた。また若い広瀬さんのコメントでは、今まで劣等感を抱いて過ごしていたと想像するけれども、自信が持てた、未来を明るくしてくれた。本当に中学校・義務教育を卒業するというみんなが当たり前のようにやれていることができなかった辛さというのが明るい言葉の中からも引き出されていて、素晴らしいインタビューだった。また専門家の先生や大人の立場もそれぞれ紹介したことで、夜間中学校の全体像や現場からの声を聴くことができた。夜間中学校の具体的な情報について、実際どんなカリキュラムで、どんな時間帯で勉強しているのかということを聞きたいと感じたが、逆にその行間を埋めずに作ったのかとも思った。
2つ目に安心信頼における声。ナレーションの木村さおりさんがキリッとしたいつもとは違う口調で、アカデミックですごく安心感、信頼感の持てる声で伝えていた。こういう番組は引きこもりや不登校など何かしら心に傷を負っている方が聞いた時に怖いと感じるようなシーンというのがあると思う。木村さおりさんの優しい声にプラスして、信頼のおける話し方が大変好印象だった。また福島知果記者のすごくくだけた言葉のインタビューは友達のような感じで、皆さんが安心していつもの言葉で答えていたのもすごく印象的だった。
3つ目に「評価をしない」という点。こういう番組は最後に方向付けをして終わりがち。まだまだ課題が山積しています。中学校を卒業してもその先の進路についてまだまだ課題があるとか、その課題についてみんなで考えていきましょうとか、あるいはもっと行政に訴えていきましょうとか、何かこう呼びかけをして終わるようなパターンがあると思う。今回一切評価や呼びかけがなく、一人一人が本当に考えて自分のできることをしていく、あるいは知識を増やしたところで皆さんを見る目が少し優しくなってくるなど、そういうじわじわとした変化が期待できるのではないかなと感じた。
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委員
今回の番組は聞き応えのある素晴らしい番組だった。番組は今年の卒業生にこの学校にどんな形で、どういう経緯で入学して、どういう学びがあったかというインタビューをメインに、個人の再生と言うと大げさかもしれないが、その物語の1つ1つが凝縮されたような番組だった。外国籍の方ももちろん9年も引きこもった後に新しく中学入るとか、その他いろいろな事情を抱えている方、すごく不安を抱えて入ってきた方がほとんどだと思うが、そういう葛藤を乗り越え、今までの自分を変えたい、変えなければという思いで入学した方が、それぞれ新しい未来に向けて卒業していく構成となっていた。そういうところがおそらく皆さんの胸を打つような番組になっていたのではないか。
夜間中学という点では、他の委員からも指摘あったが情報が少ない感じは確かにした。実は1度聴いて、夜間中学とはどんなとこなんだろうと1度調べてからもう1度聞き直した。それで聞くと確かによくわかった点もあった。
教える側もまたすごく大変だったのではないかなと思った。いろんな国籍の方がいて、全ての言語に通じていることはおそらくありえないだろう。どんな形で教えていたのか、自分より年上の方を生徒として先生と生徒として対峙するというところも、一般の中学校の先生だと経験しないこと。その辺の葛藤もあったのではないかと考えたりもするが、最初に話した通りそれぞれの再生の物語をメインに据えたということであれば、どうしてもその辺は落ちていかざるを得なかったか。
また他の委員から発言あったが、番組を通じて評価などが一切ない。その人に対して思いを馳せるとか、あるいは自分のことに置き換えて聞かれた方が多いのかと思う。夜間中学ついてはこういう特番でなくても、引き続きアナウンスしていくことは、すごく重要なことだと思う。
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委員
企画については、大変時宜にかなっていた。不登校が最高24万人もいるという学校がもう態をなさないぐらい危機に面した、破壊的な状態になってしまっている。子供の居場所としては最悪の状態になってると言われてる今の学校に対して、夜間中学という方向から見ていく。例えば夜間中学、不登校、あるいは非行少年、別の方向から見ていくと学校の今がよく分かる。学校にメスを入れるのには非常に良い視点だった。
夜間中学を知らなかったという委員も結構いたので、そういう意味で夜間中学がどういうものかを少し説明する必要があったのかもしれないと思った。ただ最新の情報をちゃんと入れていた。今年の4月現在で、17都道府県で44校というのは本当に最新の情報。これをきちっと踏まえてる、そういうところが本当によく準備したいい内容の番組だった。
内容では取材した人選と人数が1時間の番組で大変適切だったと思う。ペルー人のノエル・マルセロさん、ブラジル人の77才の田辺美佐子さん、不登校経験者で19歳の広瀬千星さん、それから宇都宮大学教授の田巻松雄さん、引きこもり9年の経験のある24歳の倉持優樹さん。特に最後に答辞をされた24歳の倉持さんがあそこまで変化していった。世の中のいろんな悩みの人の支援者になりたいと言っているが、本当に人との出会いによって変わっていくことにすごく感心した。
それから卒業生のインタビュー、ナレーションが素晴らしかった。ベテランの木村さおりさんの声の質、落ち着いた話し方、非常にナレーションにぴったりだった。インタビューの福島記者は余計なことを言わず、的確な質問を端的に聞いている。その証拠に答えている人が非常に自然に答えている。本当に自然に聞いてほしいことをちゃんと聞いているという素晴らしいインタビューだった。それだけ内容的にも聞きやすかった。
学校の先生の努力もきちんと内容的に捉えていた。それぞれ一人一人が大変重い経験を持って苦しんでいる人たち、それぞれ違った人たちが集まっている。そういう生徒たちに先生がどうやって指導するのか、指導案などないだろうし、それについての指導もシチュエーションの動画を見せて話し合う。素晴らしい。このシチュエーションはちゃんと先生たちで作り上げる、相談し合って作り上げる。学校として統一したものを考えると言っているけれども、素晴らしい努力だと思う。
最後に副校長の言葉が素晴らしい。「卒業した後どうするかっていうことをやはり考えなきゃいけない。それは結局のところ、幸せの人生を送ってもらうことですから」。これはもう名言。この夜間中学の生徒と先生との行動は素晴らしいと思った。
大学の先生が専門家の立場から夜間中学の歴史とか、個人的な課題を語った点、ちょっと長く感じたがこれがないとこの夜間中学の現実がわからないから、やはり聞く価値があったと思う。
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委員
今回このテーマの番組を聞いて、まずテーマの強さ、テーマからして興味がわく内容だった。おそらくこの構成をする時に音源を中心に余計な要素を加えずに、とにかくインタビューを聞いてもらおうという趣旨で作られた番組だろうなと思いながら聞いた。
インタビューをそのまま聞かせることはある意味リスナーにいろんな聞き方をしてくださいという意味で、非常に良い提示の仕方だと思う。今回はそういう提示の仕方をしたことで、1時間を通して非常に聴き応えがあった。
夜間中学は戦後から現在に至るまで、おそらく3期か4期に分かれてそれぞれの時代に応じた夜間中学があったと思う。今回の各都道府県1校以上というのは、また別の現代的な時代の要請があっての設置が進んでるという背景だと思う。そういう背景も若干番組の中で触れているけれども、もう少し戦後から夜間中学というのはあって、時代ごとに役割を果たしてきたということを若干説明した方が聴く側にとってはもうちょっと深みが出たのかなと感じた。
それから、倉持さんの卒業生別れの言葉。6分弱あるけれども、これは非常に感動した。2、3回聞き返した。夜間中学で学んだことの全てがこの6分間に盛り込まれてて、社交辞令的な挨拶ではなく気持ちのこもった別れの言葉・挨拶だった。倉持さんに焦点を当てたような、この6分間を聞いてもらうための番組も良いと思う。
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委員
夜間中学校のイメージは経済的な理由で若い時学校に通えなかった方が歳を経てから改めて学び直す、そういう学校だという風に思い込んでいた。ところがその時代や社会状況の変化に応じて求められる夜間中学の役割、それが変わるということ。普通に考えれば当たり前のことを気づかされた上質のドキュメンタリーだった。
特に印象に残ったのは、生徒の大半が10代から20代の外国籍の方。この現実に一番驚かされた。かつそういう方達が日本語を学んだりする場が用意されていない。それが何を意味してるかを考えるとつまり日本全体がもう多民族国家と言っていいのではないか。しかし社会的なインフラがまだ十分用意されてない。素材は一夜間中学校だけれども、それを通じて日本の社会全体の問題提起をしているような印象を受けた。本当に考えさせられる番組だった。
インタビューを受けた方の声がすごく明るい感じで、レポーターの引き出し方も上手かった。学校での経験で元気になった、そういうものが伝わる明るい肉声だったのが個人的には嬉しかった。
3年前茨城に夜間中学ができた理由をもうちょっと深掘りして聞きたかった。そのあたりを続編で放送してほしい。
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委員
水海道中学校で3年前に開講した、茨城県では唯一で、全国でもまだ稀少な夜間学級の卒業式を機会に制作された特集番組だった。番組を聴くまで夜間中学は昔の話かと思っていたが、現在や未来で必要になる事業であることを知れた。
インタビューでは、それぞれの人物の経歴や気持ちが伝わってきた。話の引き出し方が上手だった。加えて、卒業証書授与式の様子、教室での様子などの現場音源を含めてストーリを展開していて、臨場感をもって聴けた。
公立中学校に設置された夜間学級だから当然かも知れないが、基本情報の詳細が早めに提供されると理解しやすかったと思う。
・毎日4時間の授業と学級活動・補食・清掃があること。
・カリキュラムについて
それらを踏まえて、宇都宮大学名誉教授の話にあった「一斉授業は難しいので、独自教材の自主制作も必要で、個別対応も必要になる」ことを聞くと、先生たちの工夫と貢献、卒業生が成し遂げたことの重さを一層強く感じられると思う。
名誉教授の解説によって、戦後から始まる歴史的な流れと、現在の夜間中学校の役割の変化、高校を受験して入学できる資格が得られることが社会参加のために決定的に重要と理解できた。他の地域にも展開すべき事業であることも理解したものの、後半のインタビューから伺えた素晴らしい先生方の人柄や能力など、そう簡単には調達できない人的リソースを要することも知ることになった。
2023年06月30日
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