令和2年9月度 茨城放送番組審議会議事録概要

番組審議会議事録概要

令和2年9月度 茨城放送番組審議会議事録概要

開催日時
令和2年9月29日(火)
AM10:31~AM11:29
開催場所
茨城放送本社1階公開スタジオ内
委員の出席 [*印 委員長 ・印 副委員長]
  • 渋 谷 照 夫 [*]
  • 小 西 俊 一 [・]
  • 鎌 田 賢
  • 川 股 圭 之
  • 柴 田 敦
  • 蛭 牟 田 繁

茨城放送出席者

  • 取締役会長

    北 島 重 司

  • 代表取締役社長

    阿 部 重 典

  • 編成チームリーダー

    石 井 哲 也

  • 編成チームサブリーダー

    宮 田 浩 二

議題
「 プレシャスサタデー いばらきの『水』を聴く 」
令和2年8月29日(土)20:00~21:00放送

委員からの意見

委員

普段、資料を見た上で音源を聴くが、今回のテーマ、水を聴くだけをテーマに扱った番組が成り立つのかと正直疑問というか不安に思いつつ聴いた。聞いてみてこのような段取りになっているのか、なるほどこれであればと膝を打った。
県内各地を次々回っていて、袋田の滝が入らないのはなぜだ、私も実はそう思ったが、そのような意図があったことを菊地アナウンサーからの回答を聴いて分かった。ひとつひとつの音を聴いて、これがどこだというのは誰も聴き分けられないと思う。ただ、聴いてる時に近くのところに住んでる人は分かるだろうし、近所の人は今度行ってみようかなと思うのではないか。その意味でいえば、県内の方をターゲットにした番組だと思う。そのあたり、狙いとすれば当たっているのでは。
今回、このコロナ禍の中でなかなか出かけられない。近場でそれほど人が来ないところで、あえてコロナ禍の中で楽しみのような「癒し」を狙っていたのか、そのような意味でタイムリーな企画では。最初聴いた時はどのような順番で構成したのか、そのあたりはメリハリがないというか、少し残念に感じた。旅をしているようなニュアンスは感じたが、パートごとにメリハリがあっても聴きやすかったのかなと思った。
水戸市内以外のところで、このような場所が水の名所ということも知らなかった。知らないところも結構あり、機会があれば立ち寄ってみたいと思わせてくれた。

委員

前の委員の発言と同様、私も聴いたことない番組、しかもこのテーマで1時間というのはすごい。まず企画について感じたことを二つほど。音に特化して水の音と楽器、そしてナレ―ション。これが上手に調和していて臨場感があった。コロナ禍と異常気象で、皆さん思い通り行動ができない時に心なごませる番組が夜の8時から9時という落ち着いた時間に放送、大変いい番組だと思う。
もうひとつは、菊地アナウンサーから回答があった、理由は恐らくそうだろうと思ったが、それ以外にこの中に袋田の滝を入れるのは、多分場所が難しいと感じた。二回目もう一回聴いてみて、この順番が静かな音からだんだん大きな音の順番に作っているのだなと思った。湧水の景色が三つ、静かな滝の景色が三つ。川の景色が四つ、それから最後に海。音の小さいのからだんだん大きいのに行って、湧水の次に、袋田の滝を入れたらここで終わってしまうのではと思った。そのようなこともあると思い、袋田の滝は入れにくいというのがあったのでは。菊地アナウンサーの意図で県内に住む方をターゲットに制作したのであれば、全国的に有名な袋田の滝がなくてもいい。納得した。
内容に関すること3つ。まず水の音に特化したこと、やはりラジオだなと思う。私は滝が大好きで、袋田の滝、華厳の滝、那智の滝、国内の三大滝全部行ったし、世界の三大滝、イグアスの滝、ナイアガラの滝、ビクトリア以外は何度か行っている。映像がなく音に特化したのはスゴいと思った。やはり1時間聴いてみると、なるほどいいものだなと思った。コロナ禍があり、異常気象がある。このような時にこそ、時間がたくさんある人が多いから、このような時間をつくる。改めて私はいいことだと教えられた。
それから、この12か所の音を聴き地図を見ながら、どこなんだろうと思いながら見たが、随分奥の奥の方まで行って録音しているのだと思った。
例えば10番目の中戸川。高萩というと花貫川。中戸川は聴いたことがなかった。そこまで行って録音された、その執念に敬服した。
半世紀くらい茨城に住んでいて、あちこち行って名前も知ってはいるが、行ったことあるのは12ヵ所のうち4ヵ所しかなかった。聴いたこともない場所がある、茨城県に住んでいてとても驚いた。このようなところを紹介してくれたのはありがたかった。
最後に水というのは高きから低きに流れるというのは思っていたが、一番目の湧水は下から上へ行く。この番組をきっかけにしみじみと音を聴くことも考えてみると、少し人生が幅広くゆたかになったような気がした。この番組はいろんな面でそれぞれの人たちが感じただろうが、私はそのような面で生き方に少しひろがりを出してくれたと感謝している。

委員

最初に聴いた時の感じは、ノルウェーのテレビ局が焚き火の映像を12時間流したという取り組みを思い出した。燃えている映像を12時間流しただけで、非常に高視聴率を得た。それを受け、文化放送が同様に焚き火の燃える音を放送したところ、非常に没頭できるというか、はじける音が冬の放送で温かみもあり、とても良い印象だった。改めて調べてみると、文化放送は焚き火の後に、チャーハンの炒める音だけを流す番組、それから花火大会の音だけを流す番組、続けて特番を組んでいて、挑戦的だなと思った。
今回の番組はこれらからヒントを得たのかなと。ただ、湧水、滝、川、海、それぞれの水の音を正直に言えば、水の音だけでどこの音かを聴き分けるのは私には出来なくて難しいものだったが、水辺に集まってくる人々の声やその場所の音などをからめていく中で、風景として立ち上がってくるのを感じた。これは率直な第一感想。
 菊地アナウンサーの個性が際立った番組だったといえる。12か所の採録場所もメジャーなところばかりではなく、本当に知られていない場所も盛り込まれていて、彼女のこだわり、それを活かした番組だったと思う。
今回は実験的な内容だったという気がする。菊地アナウンサー個人の発案、あるいは彼女のこだわりや発意から出発した番組であるなら、私はこうした取り組みについて、未来的な可能性を感じる。必ずしもプロの制作者や構成作家たちだけではなく、アナウンサー、茨城放送社員の方々もそれぞれ個人の個性や視点などを活かした番組ができるような下地づくり、モノづくりにつながっていくのであれば、いい感じになるのでは。
菊地アナウンサーは「こんなんでいいのかYO」の印象強いが、あえてそこを外れた路線、番組づくりをすることにより、彼女の違った一面を見られたのかなと感じた。

委員

すごくきれいな音源で聴くと、水の音で情景、景色が出てくるようなところ、収録も随分苦労したのではと思いながら聴いた。聴いた後に企画書を見たら、ヒーリングの話とか、あえての1時間は狙い通りだと理解はできたが、正直、何も見ずに1時間聴く中では、「癒し」は得られるが、やはり少し長いと実感した。
音を聴いてるだけで情景とか場所が出てきて、ただ地元知ってるだけでなぜここだったのか、多分地元の人でなければ知らないし行ったこともない、よくここを選んだなと。そういうところに思いを馳せながら聴いた。
袋田の滝を入れなかった意図、これは全体のテーマそのもの。音として、癒しとして本当によく知ってる人のテーマ。今日回答のレジュメを見て、納得した。すごく狙い通りのものが伝わってきたなと改めて感じた。
全体的にはすごくいい音で、この音で車や自宅でFMの音声で聴けば、1時間ものとして十分聴ける。ただ音質が担保されないと、AMラジオで聴くのには少し不向きかなと感じた。
菊地アナウンサーのナレ―ションは意外といえば意外。こういう聴かせ方もできる。流石プロのアナウンサーだなと。改めて魅力的で、惹かれました。
この手の番組はできれば、朝の時間帯でリアルタイム性のあった方が、行ってみようとかに繋げるのに夜よりも朝の方が向いてると感じた。

委員

馴染みのある水の音を聴きながら、ナレ―ションと音楽、BGMで想像を掻き立てられ、癒しや和みを感じた心地良い番組だった。ラジオで自然の音とか、効果音を流す手法というのは昔から使われていて、特にめずらしくないと聴いていたが、水の音だけに特化した1時間番組というのは、この企画意図にあるように、やはり地元放送局の強みだと思う。よく、ラジオは想像力のメディアだと言われるが、音だけでどれだけ人の心を動かせるのかということの実験的な番組だったと感じた。
新型コロナウイルスの拡大にみまわれた特別な夏の風景を、やはり音を通じて記録するということは大変意義深いと感じた。
番組が湧水、滝、川、海の4つのパートで県内の水の名所を巡っていて、それぞれの場所について風景とか雰囲気を描写しながら、紹介した菊地アナウンサーのナレ―ションは非常に安定していて、分かりやすかった。ただ、水の音、ナレ―ション、音楽の時間配分というのは、少し難しかったかと思った。全ての名所に対して等距離で向かい合ったために、少し単調な印象を持った。菊地さんが自ら感性を打ち出して、より強弱を持たせて、全体をまとめる番組づくりをしてみてもおもしろかったのでは。
今年はコロナ禍で音への関心が高まったというようなことが言えると思う。今シーズンのプロ野球では、当初無観客で行われ応援がなかった。ところが、ミットの音だとか打球音とか選手の掛け声など、競技そのものの自然な音がよく聞こえた中継が非常に新鮮で楽しめたファンの声が少なくなかったと聞いている。この無観客試合のエピソードというのは、リスナーが気持ちよく聴けるラジオ番組だけではなくて、音を通して世相とか、競技との思いを伝えるような番組制作の可能性を開いたのではないか。
音から状況を思いうかべ、世界を広げてもらうこともできるというのは、ラジオの特権だと思う。今後も今回のような魅力的で挑戦的な番組つくりを期待している。

委員

蝉の鳴き声も入った活気のある夏を感じつつ、涼しい気分になれる素敵な番組だった。水のある風景が上手に言葉で表現されているので、臨場感をもって想像できた。
特に、岩樋へ吸い込まれる音、下から水が上がってくる音も、そのように聞こえるのには驚いた。
また、読み方から漢字や意味を想像しにくい固有名詞には、自然な説明が加えられていたので意味と漢字をイメージできた。場所を示すために常磐線の列車の音を入れたり、艪の音を入れるという工夫にも感心した。
水と緑の茨城県なので、他にも、田んぼの用水、水車、雷雨などのコンテンツもあると思う。蛙や虫とつきあう必要は出て来るが、水と緑をシリーズ化してほしいと思った。特別番組では水の音が主たる役割で、音楽の役目はセクションの区切りだと思うが、逆に、音楽を挟んだ旅番組にしても、ジェットストリーム風になるが、面白いと思う。
生放送を中心としたラジオ番組を聞き慣れているためか、録音を前提とした特集番組を聞くと時制が気になる。一般的には現在形で話をするとライブ感と臨場感が出て、過去形で話をすると思い出を語っているように聞こえるという効果があると思う。夜の放送で昼の情景を描写しているので過去形にならざるを得ないと思うが、旅番組であると割り切り「これから行こう」「いま来ている」と思わせるように全て現在形で語ってみてはどうだろうか。

2020年10月31日

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