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2025年08月19日(火曜日)
つくばの産総研新拠点で日欧、量子計算で共同研究へ スパコン連携、早期実用へ
産総研=産業技術総合研究所が量子技術の産業化のため、つくば市に開設した量子コンピューターの新拠点が、日本とEU=ヨーロッパ連合による、量子計算の共同研究に活用されることになりました。日本からは産総研やKDDIなどが参加します。9月ごろに開始の予定で、3年ほどかけてシステム開発や実証に取り組みます。
日本とヨーロッパの共同研究は5月に署名した量子技術分野での協力趣意書を具体化したものです。計算中に誤りが起きやすい現在の量子コンピューターの活用方法を探るためのもので、スーパーコンピューターと組み合わせて、精度の高い結果を得る「ハイブリッド型」の計算手法の国際標準化も目指します。計算間違い対策に加え、量子コンピューターとスパコンそれぞれの得意分野を生かした高度な計算手法が生み出せるとの期待もあります。量子コンピューターは材料の機能を左右する電子のように、多数の物質の複雑な振る舞いを計算で再現するのに向いていますが、一定の間違いが避けられないのが欠点です。自ら発見して正す技術の研究も進むものの、本格導入はまだ先とみられています。国内では、量子コンピューターの計算結果をスパコン「富岳」が評価し、不自然な点があれば修正することで精度を改善できたとの成果を6月、理化学研究所が発表しています。現状の量子コンピューターでも、スパコンと連携させれば産業に役立てられる可能性が出てきました。