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2025年03月24日(月曜日)

漆の魅力を知ってもらいたい 工芸作品 常陸大宮市役所で展示

日本の伝統工芸品の漆が輸入品に押される中、県北部で産み出される漆の魅力を改めて広めようとの動きが広がっています。茨城県内では大子町や常陸大宮市を中心に漆が産出され、岩手県に次ぐ全国2位の産地です。透明度が高くて光沢がよく、乾きが早いとして、その品質は全国的に高く評価されています。

3月6日に開かれた「漆器作品展には、苗の植え付けから栽培、樹液採取、作品づくりまで手がける「山方漆ソサエティー」の会員の漆器作品が並びました。漆はかつて、茨城県内だけで1千キロ以上生産されていました。しかし、化学塗料や安い輸入漆に押され、生産量や漆かき職人が減少しました。現在は国内で消費される漆のほとんどが中国産で、国産はわずか3%程度です。「山方漆ソサエティー」は常陸大宮市に合併する前の旧山方町が開いた漆塗り教室の受講生が、27年前に結成しました。耕作放棄地などに苗を植え、樹液が採取できるようになるまでの栽培の管理、樹液の採取、作品制作という一貫した活動で漆の振興をめざしています。

漆をめぐっては、文化庁が、国宝や重要文化財の修繕には原則として国産漆を使うと規定しています。需要の拡大に向け、県が、漆生産者と行政、研究者らで技術者育成や課題を協議する「いばらき漆振興コンソーシアム」を作るなど、動きは続いています。

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