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2024年08月20日(火曜日)
温暖化でコメ収穫量低下 品質劣化、21世紀末予測
農業・食品産業技術総合研究機構は、温暖化が進んだ21世紀末の環境を人工的につくり出す装置で稲を栽培する実験を実施しました。積極的な気候変動の対策をしなければコメの収穫量が低下し、コメ粒が白く濁る「白未熟粒」が大幅に増えるなど、品質が劣化することを突き止めました。収穫量は35%減る可能性が示されました。
実験では、農研機構が開発した、気温や湿度、二酸化炭素CO2濃度などを細かく制御できる「ロボティクス人工気象室」を用いました。気候予測に基づき2100年の環境を設定し、つくば市の1990年から99年の平均値を基準に稲の生育を比較しました。現状と同様に化石燃料を使い続け、積極的な気候変動の対策を取らない場合は気温が4.5度上がり、CO2濃度も上昇します。ある程度の対策をした場合は気温が1.4度上昇すると想定し、人工気象室で「あきたこまち」や「ひとめぼれ」など5つの品種を栽培しました。
実験の結果、気温とCO2濃度が上がるほど、5品種とも植えてから穂が出るまでの期間が早まることが分かりました。8月に人工気象室で栽培中の稲も、21世紀末の環境では30センチほど基準よりも背が高く育っていました。一方で1株当たりの穂の重さは平均で35%軽くなり、収量は減少しました。コシヒカリでは基準の年に0%から5%だった白未熟粒の割合が、30%から70%程度まで大きく上昇しました。去年の猛暑でも白未熟粒は発生し、精米したときの量が減少し流通量に影響しています。
研究をまとめた農研機構の米丸淳一氏は、実験について「最も未来に近い環境で何が起こるかが分かる。未来の環境に合う、おいしい作物を作る研究に役立つ」と話します。今後は大豆、麦などの作物や、宇宙環境での栽培法の研究にも貢献する可能性があるということです。(共同)