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2024年06月14日(金曜日)

つくばの高エネ研 物理学入門の新刊 点訳本に 視覚障害者と共有

最先端の物理学研究を分かりやすく解説し、成果を視覚障害がある人たちとも共有しようと、つくば市にある高エネルギー加速器研究機構などが、入門書「宇宙と物質の起源『見えない世界』を理解する」の点訳本を作りました。点字データはインターネットで無料公開し、表面を触ってたどる「触図」を全国の大学図書館にも寄贈し普及を図りたい考えです。

この書籍は138億年前に宇宙が誕生し、物質、地球、生命が生まれた過程などを解説しています。点字版は、3月に発刊した書籍版の本文の点字訳と、図解の触図で構成しました。自然科学系の図書は人文科学系の図書と比べて、専門知識が必要になるほか、既に発刊されている本の点訳は、視覚障害者に分かりにくい図や表現になることもあります。今回、製作にあたったのは、高エネ研と、視覚・聴覚障害者が通う、つくば市の筑波技術大学で、点訳専門家らが協力し、わかりやすくました。今回、例えば、書籍版で三次元的に描かれていた大型加速器の図解は、触図では真上から見た形だと分かるように工夫しました。

 高エネ研の斉藤直人所長は「素粒子など目に見えない世界を視覚障害者とともに探究できれば、新しい理解が生まれるかもしれない」と話しています。

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