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2023年04月24日(月曜日)

マダガスカルで新たな水稲施肥技術 普及拡大を進める 国際農研

つくば市の国際農林水産業研究センターなどの研究グループが、肥料の量を減らしても通常のコメと同じ収量が維持できるリンを使った新たな生産方法を開発し、アフリカ南東部の島国、マダガスカルで研究を進めています。肥料を減らすことで、コストの削減にもつながり、肥料価格の高騰にあえぐ現地の生産者の貧困など生活改善に期待がかかっています。

国際農林水産業研究センターは、「適応」と「緩和」をキーワードに気候変動対応に関わる様々なプロジェクトを進めていて、食料の安定生産を目指しています。そのなかで、生産環境・畜産領域のプロジェクトリーダー辻本泰弘さんは、肥料の量を減らしても通常のコメと同じ収量が維持できるリンを使った新たな生産方法を開発し、マダガスカル国内の農家3千戸以上で実証試験を行ったということです。具体的にはリンと水田の土壌を混ぜた泥を水稲の苗の根にくっつけてから移植させたところ、ヘクタールあたりのコメの平均収量が3割増加したということです。肥沃でない水田でも対応可能で、効率的に養分を投入することで、少ない肥料でも高い生産性を実現する新たな稲作技術を生み出しました。マダガスカルでの貧困の撲滅は大きなテーマとなっていて、国際農研ではコメの増収が貧困農家に大きな経済効果をもたらすとしています。

国際農研の気候変動対応に関わる研究プロジェクトのうち、「適応」で取り組むのは、環境が良くない地域でも農産物を安定的に生産できるような技術の開発です。干ばつや塩害に強い大豆の開発や、干ばつの被害を最小限にとどめられるよう水を効率よく利用する方法の提案など、取り組みは多岐にわたっています。一方、農業部門が気候変動に与える影響を「緩和」する取り組みも重要になっていて、今後、こうした技術を広げていきたい考えです。

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