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2023年01月13日(金曜日)

茨城県が医療的ケア児支援センターを開設

茨城県は、たんの吸引などの医療ケアが日常的に必要な子ども「医療的ケア児」とその家族の相談に総合的に対応する支援センターを、県内で初めて、東海村に開設しました。

支援センターが開設されたのは、東海村の国立病院機構「茨城東病院」内です。「医療的ケア児」は、人工呼吸器や胃ろうなど日常的な医療ケアが必要な子どもたちのことで、全国でおよそ2万人、茨城県には400人ほどいると推計されています。 

支援センターは、医療的ケア児や家族から「夜間のケアがつらい」、「緊急時の預け先がない」などさまざまな相談をワンストップで受け付け、市や町の関係機関との連絡調整を行います。 

竹谷俊樹センター長は「医療的なことについては比較的満足度が高いが、そこから解決できない福祉的な問題が多い。親の就労支援も含め、センターが方向性を伸ばしていきたい」と述べました。

 

 

茨城東病院の恩智敏夫療育指導室長は「すでに周産期母子総合周産期母子医療センターとの連携なども進めており、各事業所とのネットワークも作った。情報発共有していきながら、茨城県全体の問題として政策提言も含めてやっていきたい」と述べました。

 

 

支援センターへの相談は、電話のほか、メールやLINEでも受け付けます。

竹谷センター長に現状や課題を聴きました。

(現状について)医療的ケア児の数が全国的に増え、2万人を超えてきた。医療的ケア児が増えてる理由としては1つは医療の進歩。茨城県内も1980年代に水戸に県立こども病院が出来上がったが、未熟児を育てることが目的で、命を救われる子が増え、日本は一番命を救う国になっている。しかし、他方で様々な障害のある子供達が増え、その中で医療的ケア児が大きくクローズアップされてきた。

(受け入れ体制について)受け入れ体制はまだ未整備。たくさんの問題を抱えている。私どももご家族のから色んなお話を聞いて、数々の課題をいただいているが、未解決の課題がたくさんあると思っている。

(医的ケア児の受け入れ体制っていうのがここまで整って来なかったか理由について)医療は急性期を中心に展開してきている。そこを外れると、整備が遅れている。福祉との接点など、連携する力が少し足りなくなってしまっている。

(人材不足について)数が不足している。茨城県は医師も少ないので、こういう領域に人材を割けない。一生涯に渡って医療が支援するという重要性という視点も足りなかった。

(看護師や医療スタッフの体制が整わなかった背景)一番多いのが看護師なので、看護師のなり手を増やすことも非常に大事だが、医療が高度化しているので、人工呼吸器を適正に安全に継続していくという力を持った人を増やす育成が追い付かなかったことが背景。リハとかその他のスタッフも含め、育成が大切だと思う。

(国や自治体が医療的ケア児を支援するその責務を負う支援法の規定をされてから1年以上経過するが、支援センターの設置が支援を広げるきっかけになるか)法律が設置された国が動いてくれたことはの大きなこと。10年前に、重症心身障害児に対する従事者の研修を引き受けた経緯で、医的ケア児が増えてきていることは認識していた。しかし、その段階では国の動きがなく、進めていくことが難しい課題だった。また、母親が1人の人生としていろんなチャレンジをしたいと自己実現をしたいと考えられてる方もいらっしゃるが、その自己実現ができないという声も寄せられたりして、ご家族の就労支援もできていない。事業所でやれるところもまだまだ不足しているので増やしてく必要がある。

(これからの取り組みについて)最後は自分で自立するということも考えないといけないという、ライフスパン全般にわたる支援体制を作っていくことが大切になってくる。医的ケア児そのものの就労支援も考えないといけないのではないかと思っている。

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