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2022年11月08日(火曜日)

ニュースなニューズ 《里親の理解不足に知恵を絞る 行政との連携も リクルーターにインタビュー》

 

ニュースなニューズ。10月は「里親月間」に定められています。虐待などで親元を離れた子どもたちを養育する人を「里親」と呼びます。ケアが必要な子どもを受け入れる里親の確保や、里親への理解の浸透などが課題となっています。茨城県からの受託で事業を担い、制度の普及啓発を担う「里親リクルーター」の社会福祉法人同仁会(どうじんかい)つくば同仁会子どもセンター児童養護施設「つくば光風寮(こうふうりょう)」リクルーターの 増子洋一(ましこ・よういち)さんに、里親ニーズの現状や、今後の課題などについて畑中デスクが聴きました。

 

 

里親制度とは様々な事情により家庭で暮らせない子どもを一定期間養育する制度。養育里親、専門里親、特別養子縁組里親、親族里親に分かれ、里親制度の指す里親とは主に養育里親を指している。社会的養護を必要としている子供たちの茨城県内で現時点の数は700人。同仁会がつくばに子どもセンターを立ち上げる経緯については、高萩地区と水戸地区の児童養護施設と福祉施設に加え、2011年度に県南地区にも老人介護施設を立ち上げることになって、一緒に立ち上げたという。つくば地域の現場については、つくば市内の里親登録でいうとおよそ40世帯ほどの里親が現在、茨城県の里親登録をしている。里親制度の普及促進に向けた地域との連携については、つくば市役所の担当課の協力を得て、里親制度説明会を年2回実施。また、つくば市内や近隣市町村のスーパー、ドラッグストアなどで店頭に里親制度の広報啓発のチラシやポスターを設置している。増子さんは「市民の方により里親制度を知ってもらうための広報活動を実施している」と話す。かつて、里親と言うと=犬や猫などペットという認識も多かったといわれ、「一昔前はインターネットの検索で里親と検索すると犬猫というキーワードが検出されてきたが、現在では里親と検索をするとつくば香風寮の名前が出てくるようになった。徐々にだが、里親という言葉が一般的になってきていると実感している」。リクルーターの活動の甲斐もあって、里親登録の法定研修参加者は年々増えているとか。子どもがいない家庭のみならず、子どもがいても里親制度に関心を持って研修に参加する人、単身で子育てが終わってひと段落をして社会貢献をしたいそういった想いの人。様々な人が研修会に参加している。一方で、学習会の重要度がどのように受け止められているのかということについては「里親と聞くと養子縁組と勘違いされてる方がいますので、里親制度説明会学習会などを通して里親制度をより深く知ってもらう、そういった機会になってるのかなと感じております」。里親のフォローアップについては「児童養護施設で日曜の家授業という形で、家庭交流が少ない困難な児童に週末長期休暇中の帰省先として、一般の方々に家庭生活体験の場を提供していただいている。実際の親が子供と離れることは非常に大きなこと。里親制度を養子縁組制度と混同している人も多く、児相の職員が丁寧に説明をし、子供にとってより家庭的な生活を保障していくためには施設養育を優先するのではなく、里親養育を優先する進めていく。そのような動きで働きかけている」。何のためにその里親制度を設けているのか、なぜ法律を変えてまで里親制度を行うのか。「児童福祉法の改正にもある通り、子供の養育は家庭生活優先の原則が担保されるべきとの考えから、児童福祉法が改正された。子供の成長には家庭的な養育環境の継続が必須。家族再統合を考えた中で、家庭に戻って生活をするということが児童福祉の中で優先されるべきだが、困難でかなわない場合に子供の家庭生活を継続していくため、家庭的な養育が担保される里親家庭での養育というのが子どもにとっては重要。ひとりでも多くの方に里親制度を知っていただきたい」。

 

茨城県内の里親家庭で暮らす子どもは増えてきました。茨城県と関係機関は支援を強化しており、研修会や交流会の開催、個別の相談対応に当たっています。里親と子どもが地域で当たり前に受け入れてもらえるよう、一層のPRや、制度への理解が求められています。

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