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2022年07月26日(火曜日)

「ニュースなニューズ」 引退の参議院議員に聴く④ 立憲民主党 郡司彰・元参議院議員

ニュースなニューズ。引退の参議院議員に聴く。立憲民主党の郡司彰・元参議院議員へのインタビューの2回目です。4期24年間務めた参議院議員の活動のなかで、旧民主党政権時代には、農林水産大臣を務め、全国にあるダムや干拓などの公共事業の現場を歩きました。農林水産大臣時代を振り返っていただきました。

 

 

「(2009年の政権交代の後に、鳩山内閣で農林水産副大臣を務められ、その後の第2次野田改造内閣で農林水産大臣を務められた。大臣時代の印象的な出来事などについて)干拓をして水田を作った。でも塩害が出るものだから米以外は作れない地域があるんですよ。そこへ、他から入職をしてきた人達に水田以外のものをやると。これはもう酷な話だったので、そこの人たちは「俺たちは米を作るしかないんだ」ということでしたが、結果としては、県の中でそこの人達だけは減反をしないで、その率によって交付金の額がどんどんどんどん削られ、そのために県内の土地改良の事業ができない。そうすると、県内の中で「お前のせいで予算が来ないんだよ。俺たちお米しか作れないんだ」っていうような争いを何十年もやっているような、当時は毎年ニュースになっていましたけれども、そういう現場にも行きました。散々なのやっぱり、罵声を浴びせられましてね。色んな事言われました。けども、最後のところに行ったとき、「でも、あんたらのような国会議員で、大臣だのなんかで来たの初めてだ」って言われました。「今まで誰も来なかったんですか」と聴くと、役人が来るが国会議員は誰も来ない、というような話を聞かされて。これは自民党が悪いというよりは、そういう仕組みに持って行ってるは官僚の完了の在りようも含めてなんだと思います。(その話を聴いて)「そうですか」と。「じゃあ、これからまた、予算ごとについても作っておくようにして。言えば、いじめのような政策はやめるようにしますし、皆さん方の意見を取り入れて、一生懸命、これからは米を作って残った分は米粉を活用するようなことをやりましょう」って言ったら早速喜んで、自分たちでお金を出し合って米粉の工場を作ったりですね、そういうこともありました。それから、大分と熊本の境にあるダム。三十年間、農業用なので受益者負担でお金をいただきながら作ってきたものの、三十年間でできあがったダムは水がたまらない。水がたまらないダムにはこれ以上、農家の人たちはお金も払わないと。それよりとにかく、息子の代になったら、新しい農業のトマトを作ったり、ピーマン作ったりという予定に全然ならないのであれば、息子達だってもう農業はやらない、というような話も出てきたのではないかと思って、そこにも行きました。そこももう、大変な歓迎ぶりで、本当に何時間もいろんな話を聞かされ、「30年間でお前に今日1回言ったぐらいじゃ足りない」という話で、今度は本当にそれより、「これからのことでダムを何とかしてくれば」という意見を踏まえ、諮るようなことの時間もなかったから、柔軟にやりましょうという形で、「水が溜まるようになった」「新しい農業ができるようになった」って喜んで。政権が自民党に変わっても、その地域の方々が上京してくると部屋を訪ねてきてくれて、「あの時の決断のおかげで今みんな喜んでいる。後継者が出るようになりました」ということを話してくれたり、電話でその都度、お話をいただいたりしましたけれども、そういうことを含めてね。やっぱり、政権交代をして初めて分かったようなことでした。肉体の疲れるのとは別な充足感は相当感じさせていただいたという感じでしたね。」

「(水田稲作やってる方々がどんどん減っていったり、新規就農者がなかなか増えなかったりということが現実あると思うが、国の耕作放棄地対策がきちっと機能してないのか、そもそも農村コミュニティの崩壊が問題なのか、どちらだと感じているのか)難しい。いくつかの側面があると思います。第1次産業というのは何があろうと自然を相手にする限りは1年365日、電球を使って生産を可能にするということができない作業だから、社会全体でそれが必要だということであれば保護をするということが必要な作業ということがヨーロッパ、今のEUの基本的な考え方。今でもEU全体の予算の最大の支出は農業政策。農業政策も所得補償と、環境への支払い。この2つの問題が日本の場合には政策的に、昔は国が管理する食糧管理制度で米を買い上げて生産を維持すれば、農家は政治の方針を了承してくれるので、JAも国の預かり金で、JAそのものも潤うことができる。それが出来なかったのは水田がないところ。茨城県で見ていただくと、例えば鉾田とかっていうのは水田に適さない地域なんですね、でも、今でも立派に農業だけで食べていけています。国の政策に甘んじて努力をしなかったと言うと語弊があるけれども、国の政策の恩恵が少ない地域は何とかやってかなくちゃと言うので今、生き残れるようなその農業の仕組みを作ってきた。私はこれからも特に、全国的に言うと、茨城は本気でいれば必ず儲かります。平坦で気候条件が良くて、南北の南限北限の農産物がどちらもできて、後はもう、お金が集める工夫ができれば農業は必ず儲かります。しかし、全国的には茨城のような環境ではないところが多いものなので、それをどうするかという。やれば儲かる地域の農業政策と、やってもなかなか儲からないけれども維持しなければ地域そのものが維持できないというところと、その辺の明確な難点で、自然の中での差別化・個別化をするような形で競争がきちんとできるところはさらに競争が行えるように条件を整えるのがいいと思います。それが出来ないところは地域をまず維持する。もうちょっとメリハリの効いた納税もできるはずだなとは思ってます」

 

 

現場の声を聴くのが政治家の役割と実感した郡司さん。林業政策にも力を入れ、公共施設での木材利用を促進する法律をつくり、木材の利用促進を民間建築にも広げました。一方、自然相手の産業は合理化や効率化に限界があり、保護しなければ生産を続けることは不可能になる、と指摘していました。

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