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2021年03月31日(水曜日)
移住政策のキーワード「関係人口」を増やす取り組み
人口減少に歯止めがかけられていないなか、県が新たな移住政策に力を入れています。そのキーワードといえるのが「関係人口」。旅行で来るような「交流人口」や、移住して定住する「定住人口」とも違って、地域の人とさまざまな形で関わりを持ち続ける人々のことを「関係人口」と呼びます。そこで「関係人口」を増やそうという、茨城県内でのプロジェクトを公募、支援する県の事業「STAND IBARAKI」でMVPに輝いた「八郷留学」代表の原部直輝さんの取り組みをお伝えします。
石岡市八郷地区に住む原部直輝(はらべ・なおき)さんは、八郷地区内の放置林に「きこりの森」を作るなどの取り組みで八郷地区の団体や農家と連携し、首都圏の人々が八郷に「留学」するという設定の活動「八郷留学」の代表を務めています。この日は、森の中で陶芸体験教室を実施しました。
参加者は「なかなか外に出られない状況なのでいつかは参加したいなって思ってたんですけど。今回お友達誘ったら行ってくれることになり、それだったら子供たちも行くってなったので参加しました。自然に触れ合うことも少なくなってきたので、こういう体験は貴重かなと思って」。
原部さんが「八郷留学」を始めたのは8カ月前のこと。石岡市八郷地区の出身ですが、都内の大学卒業後、一時はサラリーマンとして働き続け、その後、八郷地区にUターンしました。
「もともと地元でこういうことがしたいっていう思いがあったのではありません。事情があって会社を辞めることになって、帰ってきてなにしようかなというところから始まりました。悩んでる時に地元の市役所の方と出会って、その人が八郷の地元の魅力的な人に紹介してくれたりいろんなとこに連れてってくれて」
「八郷留学」は、原部さんが活動を通じて出会った7人の男女で活動し、20代の原部さんが代表を務めます。「ざっくりまとめて言うと、里山資本を今の社会に求められる形で提供しています」。
自治体の対応
新型コロナの感染拡大が続く中、大都市から地方に移住しようと考える人が増えています。かつて、地域振興の大きな手段と言えば、大企業や工場を誘致して雇用を作るというものでしたが、今、企業の生産拠点は海外に移り、工場誘致で大規模雇用というやり方は難しくなっています。過疎が進む中、移住したり、Uターンしたりした若者が地域の魅力を発信するケースが、新たな地域振興の1つの形になっています。
人口減少に歯止めがかけられていないなか、県が新たな移住政策に力を入れています。そのキーワードといえるのが「関係人口」です。「関係人口」を増やそうという、茨城県内でのプロジェクトを公募、支援する県の事業「STAND IBARAKI」では、プロジェクトの提案者と協力者がチームを作り実践まで行い、優秀チームには支援金を提供し、チャレンジしたい人を応援します。MVPに輝いた原部さんは。
「コンテストのために八郷留学始めたわけではもちろんないので、それよりもとにかくに来てくれた人が楽しんでくれるって言う事の方がよほど大事です。受賞したことで他の地域の方だったり似たような事業をされてる方から声をかけていただくことが多くなってきて。お客さんもにもこの情報が届くようになってきたっていう流れができてるのがいいかなと思って」
あの手この手の人口減少対策が続きますが、東京一極集中型社会から適度な分散型社会へのかじを切るため、働き方や若者の意識の変化を追い風に、現場では、多様な人たちを呼び込むための知恵と取り組みが、一層求められます。